第3回 ボルボの映画

映画の中でカッコいいのは俳優だけじゃありません。丹念に作られた映画ほど、脇役や小道具が輝いて見えます。もちろんクルマもその一つ。「ボルボ・オン・ザ・スクリーン」はそんな「映画の中のボルボ」をご紹介します。第3回は、91年のアメリカ映画「Night on Earth」。
ナイト・オン・ザ・プラネット
1991/米
原題:Night on Earth
製作・監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:ウィノナ・ライダー/ジーナ・ローランズ(第1話)、アーミン・ミューラー=スタール(第2話)、イザーク・ド・バンコレ(第3話)、ロベルト・ベニーニ(第4話)、マッティ・ペロンパー(第5話)
Time:2h. 9 minuits
R指定(暴力的シーンはありませんが、セリフに過激な表現があります)
LA、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキと、5つの都市を舞台に、5つのストーリーが展開するオムニバス映画。主人公はそれぞれの都市のタクシードライバーと乗り合わせた客。物語は夕刻から早朝にかけて進行します。ボルボが登場するのはもちろんヘルシンキ編です。
映画評論家の父を持つジャームッシュは、学生時代のフランス滞在などによって、アメリカ離れした感性を養ったようです。「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(84年)や「ダウン・バイ・ロー」(86年)によって、アメリカン・インディペンデント・フィルムの牽引役となりました。
91年のこの作品はユニークな脚本、そして俳優の個性を生かした演出が、全ストーリーに強い魅力を与えています。LA編のウイノナ・ライダー、ローマ編のロベルト・ベニーニ(「ライフ・イズ・ビューティフル」98年)ほか、出演者全員の演技が秀逸。ジャームッシュの作品としてだけでなく、オムニバス映画としても最高傑作の一つです。
何もかも凍り付いた深夜のヘルシンキに登場するのが、ボルボ144のタクシー。運転手のミカは、酔いつぶれた3人の男を家まで乗せてゆくことになります。男たちは仲間の不幸話をミカに聞かせるのですが、その後ミカが自分について語ったのはさらに不幸な話でした…。
ちなみに、第1話(LA)で男勝りでキュートなW・ライダーが運転するのは、シボレーの旧カプリース・ワゴン(77〜89年)、第2話(NY)で東ドイツ出身の元ピエロが運転するのはフォードLTD(79〜91年)、第3話(パリ)で短気なアフリカ系フランス人が運転するのはプジョー504(68〜83年)、ベリーニのハチャメチャトークが抱腹絶倒の第4話(ローマ)はフィアット128(69〜76年)。
ちょっと古いクルマが、それぞれの国らしさを盛り上げます。もし舞台が日本だったら、ジャームッシュはどんなクルマを使ったでしょうね。
登場するタイミング:1時間37分経過時点
通称アマゾンと呼ばれる120系と240系の橋渡しとなる140シリーズ。ボルボのボクシーなスタイルは140から始まりました。240より一回り小さく、丸みを帯びたデザインが特徴です。
144はその名の通り4ドアセダン。劇中の144はオプションの大型フォグランプを装備しています。生産期間は短かったものの、240につながる成功作となりました。
「生産中止から30年近く経つこともあり、設計の新しい240に比べて完成度は譲ります。それでもやはり丈夫なボルボらしく、今でも当店に何台か整備で入庫します。コンパクトなボディや愛嬌あるデザインなど、いまでも魅力の褪せないクルマですね」
(ボルボ・カーズ岡崎店長 神谷)
VOLVO 144(1966〜74年)
●全長4640×全幅1730×全高1440mm●直列4気筒OHV・1985cc(82ps)●駆動方式:FR
※諸元は68年以降の2.0リッターモデル。写真は74年型右ハンドル仕様
※今回の作品は名古屋在住の古賀さんから推薦していただきました。
text by VOLVO CARS CHIKUSA, TENPAKU, OKAZAKI
ボルボの映画 バックナンバー
- 第12回「ゾディアック」(06年、アメリカ映画) 2008/10
VOLVO 120シリーズ"アマゾン"(1956〜70年) - 第11回「M:I:III (ミッション・インポッシブル III)」(06年、アメリカ映画) 2007/12
VOLVO 850(1992〜97年)/V70(97〜2000年) - 第10回「男はつらいよ 拝啓 車 寅次郎様」(94年、日本映画) 2007/4
VOLVO 240 (1974〜93年) - 第9回「キッチン ストーリー」(03年、ノルウェー・スウェーデン合作) 2006/11
VOLVO PV444 (1947〜58年) - 第8回「フレンチ・コネクション」(71年、アメリカ映画) 2005/12
VOLVO 164(1968〜73年) - 第7回「スクール・オブ・ロック」(03年、アメリカ映画) 2005/8
VOLVO XC90(2002〜) - 第6回「大統領の陰謀」(76年、アメリカ映画) 2004/4
VOLVO 120シリーズ(1956〜70年) - 第5回「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」(85年、スウェーデン) 2004/2
VOLVO PV800シリーズ(1938〜57年) - 第4回「ガープの世界」(82年
アメリカ) 2003/8
VOLVO 544 (1958〜65年) - 第3回「ナイト・オン・ザ・プラネット」(91年
アメリカ) 2003/5
VOLVO 144(1966〜74年) - 第2回「シックス・センス」(99年
アメリカ) 2003/3
VOLVO 240/245 (1974〜93年) - 第1回「イギリスから来た男」(99年
アメリカ) 2003/1
VOLVO 780 (1985〜91年)


